さがみはら商工会議所会報 2017年5月号 No.514

超精密金属加工からロボットまで―。

JET(中央区田名)の守備範囲は実に幅広いといえます。しかも、それぞれの事業領域で卓越した技術力を持ち合わせています。例えば金属加工では、25マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の穴加工ができます。一方、ものづくり現場の人手不足などに対応するロボットシステムの設計開発も手掛けています。同社は20年前に遠藤法男社長が就任して以降、当時と比べ売り上げが7倍になるなど、確実に成長を遂げています。今年3月には経済産業省・中小企業庁から「はばたく中小企業・小規模事業者300社」にも選ばれました。

―事業内容について教えてください。
 「先代である父が1983年に設立した会社です。私はもともとシンクタンクや銀行にいましたが、父が病気で倒れたことがきっかけで、会社を継ぐことになりました。当時は自動車部品の鋳物加工が中心でした。しかし、業界の先行きを考えると、何か新しいことをやらなければ生き残れないと思っていました」

―そこで精密加工に進出したのですか。
 「そうですね。H D D(ハードディスク駆動装置)の会社と出会ったのがきっかけで、仕事をもらうようになりました。最初は〝精密〟と呼べるものではなく、簡単な加工でした。それが徐々に精密加工が必要な基幹部品も任せてもらえるようになりました。ひたすらチャレンジするうちに、技術が高まりました」
 「ただ、精密加工の分野もいずれ海外企業に追いつかれてしまうという懸念がありました。そのため、加工の仕事は『超精密』を伸ばしつつ、設計や組み立てまで請け負うことにしました。設計部を新設しましたが、2年間はお客さんがいなく、ほとんど〝種まき〟でした。ある難しい仕事をやり遂げたことが転機となり、その後は拡大していきました」

―ロボット分野にも進出しています。
 「お客さんのニーズがあったことから9年ほど前に始めました。今では精密加工事業と同等の売り上げ規模に成長しています。これまでに食品工場でコンビニエンスストア向けの配送仕分けロボットシステムのほか、多軸ロボットを活用した搬送システムなどを開発、納入しました。今後もあらゆる産業で人手不足が見込まれます。当社では生産設備分野以外のロボット化に着目しています。例えば、検品や配送など、従来は人がやっていた作業を代替できるロボットを投入していきたいです」

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